2011年11月6日日曜日

遠州 森のまつり

慶雲社(向天方)


森のまつりは、凄い。
何が凄いって、とにかく凄いのです。
地元が熱い、やたら熱いのです。

静岡県周智郡森町は、人口2万人あまりの田舎町。
ふだんは静かであろうその町が、祭りで湧き上がっていました。

町内は、ヨチヨチ歩きの子供から老人まで、男女を問わず法被姿の人達だらけ、洋服姿の観光客は、まばらで、町民全員が集まっているのかと思えるほどの人出です。

藤雲社(栄町)




若者は、法被姿で風を切り、若い女性も、きりりと髪を高く盛上げ、ねじり鉢巻のいなせな法被姿。
町のあちこちに詰所があり、どこもかしこも、おじさん達の大宴会。
観光客など、まったく意に介さずの地元密着型の祭りに、ただただ驚きましたよ。

午後1時ごろ、祭囃子と歓声の渦巻く中、三嶋神社に屋台(遠州地方では山車と呼ばず、屋台と言います)が集まってきました。
森町の屋台は、とてもめずらしい二輪の屋台です。
簡単に説明するとリヤカー型なんですけど、それでは失礼なので、平安時代の牛車のような型と形容すべきですね。
森町の屋台の数は、全部で14台。
高さは4m弱で、車輪の直径が1.5~2m、どの屋台も美しい彫刻が施されています。


谷本社(城下)


屋台だけを評価すると、いままで見てきた祭りの山車の中では、小振りで簡素ではありますが、形がめずらしい事や小振りで二輪であるため、激しい動きが可能で迫力は満点です。
屋台は「てこ」のように上下しながらも、左右に振り、曳き回すというスピード感のある動きをします。
2時近くになると、今度は、金森神社に向かって神輿渡御が始まります。

神輿渡御


時代衣装を着た人達を先頭に、神輿が静かに運ばれて行きます。
そのあとに、14台の屋台が続き、町内を練りながら賑やかに巡行していきます。
「お祭り騒ぎ」とは、こういうことなんだと納得出来るほど、みんなひどく酔っ払っているので、時々ハチャメチャな動きになりますが、そこがまた、迫力なんでしょうかね(゜.゜)
とにかく、非常に盛り上がっているのは、いいのですがね、観光客は、ただ唖然とするばかりでついていけないのですよ、この祭りは。

明開社(明治町)


飲食店や商店など、まったく観光客など目当てになどしていません。
町民の詰所や祭り本部はあちこちにあるのに、観光客には、休憩所はおろか腰をおろす場所すらないのです。
食事をしたくても、飲食店は休みか、祭り関係者の貸切で営業はしていません。
露店はいっぱい出ていても、腰をおろして食べる場所もありません。
歩き疲れ、休みたくても喫茶店ひとつ営業していないのです。
つまり、観光客は一切無視。
北街社(新町)




これには、少々あきれたというか、困りました(ーー゛)

近頃は、町おこしイベントなど多い中、この町は、町おこしなどまったく念頭にないようです。
地域の特産品やおみやげを売っている場所も、ひとつもありませんでした。
はじめは、「なんと不親切な町なんだろう」と、あきれたし、少々苛立ちましたが、ここまで無視されると逆に気持ちよいような気もしてきました(ー_ー)!!


湧水社(南町)

元々、自分達の祭りなのだから、観光客などに媚びる必要なんてないんですよ。
徹底的に部外者排除のこの姿勢、半端なとこがなくて、なまじ潔いではないですか!

私は、浜松市の生まれです。
7歳のころまでしか住んでいなかったので、浜松市のこともあまり憶えていませんが、天竜川を挟んだ隣町である森町のことを、全く知りませんでした。

凱生社(天宮)


たまたま、ネットで「森のまつり」のことを知り、今回は浜松市にある両親の墓参りのついでに足をのばして、森町へやって来たのです。
忘れていましたが、考えてみたら私も遠州っ子の端くれなのです。

そう思ったら、他人に媚びないこと、仲間は大切にしても他人を容易に受け容れないところ、遠州っ子気質かもしれません。
なんとなくわかるような気がしてきました。



「森のまつり」は地元の祭り、観光客なんてクソ食らえ!カッコイイぞ!
そんな祭りが、いつまでも続きますように(^O^)

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