2011年9月28日水曜日

建物探訪(Ⅰ)古川為三郎記念館


古川為三郎記念館

天気のよい休日、街中散歩に出かけました。
訪れたのは、千種区池下界隈、古川為三郎記念館。

昭和の始めに建てられた数寄屋造りの日本家屋は、傾斜地に高床式で建てられた非常に凝った造りの邸宅です。

贅を凝らして造られていますが、豪奢を極めた大邸宅とは一味違う、粋人の隠居所の風情がしました。

中庭






庭園の樹木や置石、静かに流れる小川、小川にに架かる石橋、中庭の竹林、すべてが建物と調和し、それはまた、室内からの景観に重点をおかれた造りになっていることにも感心しました。

外観のみならず室内においては、各部屋それぞれに意匠が凝らされ、それは一見、見逃してしまいそうな細部に至るまでに行き届いてることに感嘆するばかりです。

中庭を臨む廊下


また、驚くべきは、日本家屋は薄暗いというイメージが覆されたことです。
どの部屋にも、日が差し込み、程よく明るい造りになっています。

何からなにまで計算し尽くされた調和と、少しばかり凝りすぎてはいないかと思うほどの意匠は、ただただ「すごい」としか表現しかできませんが、粋人の遊び心とはこういうことなのでしょうか(*_*)。

とにかく、私のような一般人には一生かかっても住むことなど出来ないのない御殿であることは間違いありません。




格調高い書院も、粋を凝らした客間も、端正な茶室も、これでもかと言わんばかりに凝っていて素晴らしいのですが、素晴らしいと思う反面、見ているうちに、なぜか違和感を感じてきたのです。

細やかな造作に目を奪われ、その場では気づきませんでしたが、そう感じたのには理由がありました。
なぜなら、この建物には台所や浴室といったあたりまえの生活空間がありませんでした。

葵の間



最初からなかったわけではないと思いますが、記念館として公開するにあたり必要がないので取り去ったのか、それとも見学できる場所以外にあったのかは分かりません。

しかし、その浮世離れした美しい建物から、今は完全に暮らしの気配が消されていました。
それを、残念に感じてしまうのは私だけでしょうか(・.・;)?



表門



記念館あるいは博物館として拝見すれば、それでよいのでしょうが、住居としての視点で見ると、なんだか寂しく感じられました。

住まいは生活の場。
こんなに素晴らしい邸宅であっても、住んでみたいとは思わなかった理由は、そこにあったのかもしれません。

どんなに歴史あるりっぱな邸宅であっても、私には生活感が感じられない御殿より、生活の匂いのする古民家のほうが馴染めるなぁと思いました。

まあ、そんあ私の思い入れなど、どうでもよいのですが、日本建築の粋を集めた古川為三郎記念館は、素晴らしい建物であることは間違いありません。
必見の価値は、充分にあります。

また、美しい庭園を眺めながら、お茶を頂くこともできます。
みなさんも時間があれば、ぜひ立ち寄られてはいかがですか?

 古川為三郎記念館は常時、開館しているわけではありませんが、近くにある「古川美術館」と共通入場券で見られますから、記念館が見学できる期間に行くといいですね。

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