2011年8月23日火曜日

美術館へ

碧南市藤井達吉現代美術館

 









 休日、碧南市にある藤井達吉現代美術館の企画展「画家たちの二十歳の原点」を見に行きました。
この展覧会は、明治から平成までの画家54人の二十歳前後の作品に限定、注目した企画展です。
作品の横には、画家本人の当時の言葉が添えられています。
その言葉からは、早熟な才能と未熟な人生経験の狭間で自問自答する青春の葛藤の日々が読みとることできます。

自らの才能を信じて画家を志し、名をなすことを夢み、挫折を繰り返す日々の彼等の叫びが聞こえてきます。
ある者は病と闘い、ある者は恋愛に悩み、またある者は体制と闘う、二十歳とは、こんなにも痛いものであったろうかという感慨が沸いてきます。
時代の違いという一言で片づけられない、真摯な姿がそこにありました。

中村 彜


私は、絵画について専門家でも評論家でもないので、技巧について詳しく説明することはできません。

だから、あくまでも自分の視点から作品を紹介します。
私は、明治から大正を一気に駆け抜け、夭折した画家に惹かれます。

凝縮された人生であるからこそ、強い自己主張と孤独が見え隠れするような気がするのです。



村山塊多


なかでも、自画像は描かれた時の感情が、ストレートに表現されているようで強く惹かれます。

なぜなら、自画像は展覧会に出品されるべく描かれたものではなく、習作である場合がほとんどだからです。
影響を受けた西洋の新しい技法を試しながら、自問自答をする若い画家達が見えてきます。

自分を見つめるその眼は、自分の内面をあからさまにえぐりだそうとしているようにみえます。

関根正二



 思うように評価されない自分、報われない恋愛、日に日に身体は弱り
 死の影におびえる自分を描く作業は、悲痛とも思えます。

 二十歳という若さが、彼らを駆り立て自らを追い詰めていってしまう。
 正気と狂気の間をめまぐるしい勢いで行き来しながら、ついには生き急
 いでしまう結果になったのでしょうか。

 
佐伯祐三




でも、私は思うのです。
彼らが自分を描くということは、自己愛でもあるのではないかと。
 
苦悩に満ちた孤独と闘いながらも、一方では、孤独と共存している自分を
決して否定していなかった事が、絵に見てとれるような気がします。

まだまだ、紹介したい絵画はいっぱいありますが、私の個人的感想などより、ぜひ、この展覧会を見に行って頂ければと思います。


この展覧会については、9月4日放映の日曜美術館(Eテレ9:00~10:00)で紹介されますので、ぜひご覧になって下さい。

この美術展にご招待くださった碧南市藤井達吉現代美術館館長の木本文平氏に感謝いたします。






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